Satoブログ
啖呵売(たんかばい)
ごくあたりまえの品物を、巧みな話術で客を楽しませ、いい気分にさせて売りさばく商売手法を啖呵売といいます。渥美清・・・いや車寅次郎の「結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りは糞だらけ」なんて口上が頭に浮かびます。あれは単に勢いで迫るわけではなく、買い手をその気にさせる組み立てが考えられており、押し売りなどとは全く別物の手法ですよね。
今朝は4時過ぎに目が覚めてしまい妙に冴えてしまいましたので、しかたなく起き出してコーヒーを飲みながらテレビをつけました。面白いもので、その時間いくつかのチャンネルで通販番組をやっていることに気づきました。なんで早朝なんでしょうか?視聴者が少なくて放映料が安いのでしょうか、早起きさんは衝動買いしやすいデータでもあるのでしょうか、朝日が昇ろうとする時間は購買意欲をかきたてる波動でも伴うのでしょうか。これはこれで興味深いものがあります。
ところで各局とも通販のプレゼンテーション形式が違ってました。ある番組はアナウンサーの整然とした商品PR文句が流れる中、商品のプロモーションビデオがキレイに映し出されるものでしたし、別の番組では健康飲料品についてのいろいろな年代・職業の男女による試飲感想を流すものでした。しかし私が一番目を引き付けられたのは、啖呵売手法で一人のセールスマンが実演しながらしゃべりまくる番組でした。
商品はとても単純な日用品です。説明を受けない状態で「いかがですか?」と言われたとしても、まず買いたいとは思わないものなんですね。・・・がしかし、10分ほどぼーっと眺めていた私は、最後につい注文受付の番号に電話をしたい衝動にかられました。実際には電話しなかったのですが、そのぐらい「欲しいな」と思わせたのですから全国ではけっこうな人数がダイヤルしたに違いないと思います。
実演者は歯切れもテンポもよく語り続けるのですが、巧妙に視聴者を引きつける工夫がされていました。一見アドリブのように見えますが、十分なシナリオが練られているはずです。テンポはリズム感があるのですが、アクセントや繰り返しが頻繁に使われて訴えたいことのすり込みが上手です。
実演も最初に興味を引きつけるものを一旦見せてから、順番どおりに歓心を買うような順番を作ってます。 値段は決して安いとは思えないのですが、効果が大きいことを前面に出してから割安感を主張するやり方で抵抗を少なくする工夫もされてます。 気持ちを高揚させるためにクロージング部分ではアップテンポのしゃべりになるのですが、正しい発声と明瞭な口の動かし方がされているので決して不快な印象は持ちません。
そしてなにより画面を通してみる表情が、自然で嫌味のない笑顔ですので印象が良いのです。話し手の印象が良いことは、そのまま商品の印象がよくなる効果があります。
啖呵売は完全歩合の営業マンみたいなものです。つまり売れなければ収入ゼロということ。しかし売りたい気持ちが表面にでるほど相手に嫌われるのはどんな場合でも同じです。余裕を感じさせる表情や話し方、最初の印象で相手の信用を得る態度やしぐさ、相手が欲しいと思いたくなるような情報の出し方など、あらためて仕事には筋道の通った骨格が大事なんだなぁを感じさせられました。
たしかに、早起きは三文の得(徳でもよい)かもしれません。
人間関係の潤滑剤
昨夕はT社様で社員の皆さんを対象にしたセミナーを担当しました。職場のストレス改善のためにというテーマで、業務中にもかかわらず50名近い皆様が参加されました。昨日は職場内コミュニケーションを材料に使ってお話させていただきました。
財団法人社会生産性本部メンタルヘルス研究所によるアンケート調査によりますと、会社で働く人は男女とも2割弱が「常にストレスを感じて」おり、2割強が「ストレスを感じる」ことが多く、更に4割弱が「時々ストレスを感じる」という結果です。つまり8割の人たちが何らかのストレスを感じながら仕事をしているわけです。
そもそもストレス無しは考えにくいのですが、それでもそこからうつ病などに進展し、最悪の場合は自殺などに至るケースも以外に増えているのだそうで、最近職場におけるメンタルヘルスというテーマで厚労省なども力を入れはじめています。
そして職場内ストレスの具体的な内容を調査すると、一番多くあげられるのが「職場の人間関係」というやつです。長時間労働とか仕事の中身などを抑えての堂々のトップですから、人間関係に煩わしさを感じている人は全国に溢れていることになります。たしかに会社の途中退職者の理由を探ってみると、退職届には「一身上の都合」とあるものの、職場の人間関係のこじれが原因と思われることがとても多いようです。
人は好きになった人が嫌いになることはあっても、嫌いになった人をなかなか好きになれないものなのだそうです。簡単な心理学なのですが、好きになると一緒にいる機会が多い → 一緒にいる時間が多いと嫌な面も見る機会がでてくる → 嫌な面もあることに気がつくと良いと思っていた印象が消えていくの理屈です。 そして嫌いに思うとその人を避ける → 触れ合わないので良い面を見る機会もない → はじめの嫌いな印象が変化しないので嫌いなままであるということです。
職場でも同じですね、嫌な人はとことん嫌になってしまいます。それが上司でも同僚でも部下でも同じです。嫌に思うので、言われたことに素直に反応できません。 好きな上司から指示されたことには積極的に応じても、嫌いな上司から指示されたことには抵抗したくなってしまいます。それが続いて結局関係はさらにまづくなるわけです。
嫌いを好きに変化させられるのは、接触を増やして相手の良い面を認めることが早道です。もちろんそう簡単にはいきません。だから関係を改善したいと思ったら最も手軽にできるのが「挨拶」の言葉を交わすことです。
あいさつといってもいろいろです。 おはようございます、よろしくお願いします、行ってきます、行ってらっしゃい、ただいま、お疲れ様でした、お先します、ありがとうございます・・・。 どうせ言うのであれば相手の目を見て、笑顔を添えたいものです。 たしかに勇気がいるかもしれませんし笑顔がひきつるかもしれません。
それでも長い間共にいなければならないのだとすると、そうしたほうが断然自分の得にもなるのですよね。
子供には「きちんと挨拶しなさい」などと言うのですが、意外に自分は会社ではそうできてない人が多いものです。言わなくてもわかる!ではダメです。相手に聞こえない声でもダメです。相手から目を背けてもやはりダメです。 それらは言わないのと全く同じだからです。
公園を散歩していて見知らぬ人とすれ違うときに挨拶を交わせると、少なくとも悪人じゃないなと判断します。電車の中で席を譲ったり譲られたりすると、なかなか感じの良い人だと自然に思えるものです。会社でも全く同じです。気持ちのよい挨拶ができる人には誰もが好印象を持つものです。
人間関係のストレスが多い職場は、やはり社員同士の挨拶などが滞りがちな場合が多いようです。
人を好きになること嫌いになること
事務所にいても家にいても多くのセールスパーソンの方の訪問を受ける機会があります。9割以上は「特に必要ありません」ということでお引取りいただいてますが、中にはその扱い商品に興味はないものの「5分ならお話を聞きましょう」などと招き入れることもあります。
拒絶か受け入れかはほんの一瞬で判断しているわけです。正確なデータを取ってませんから断言はできませんが、取り扱い商品とかセールスパーソンの年齢や性別などとあまり関係なく判断しているような気がします。時間にしたらほんの数秒間、抽象的な表現をすれば対面した相手に好感を持ったことが動機なのだと思います。
心理学用語に「パブロフ型条件づけ」というのがあります。たとえば初恋の相手とのデートである喫茶店でコーヒーを飲み、甘い時間を過ごした思い出があると、何年か過ぎて一人でその喫茶店を訪れても甘い感覚が蘇り幸せな気分にひたれたりします。この場合、喫茶店がどうのこうのではなく、初恋の相手との眩しい思い出が喫茶店に重なっておこる感情なのだそうです。
道を歩いているときうっかり財布を落としたら、後ろの人が拾って声を掛けてくれました。感謝でその相手がとてもいい人だと判断しますが、考えてみればその人がどんな人なのかまるでわからないわけです。それにもかかわらずいい人だと断定するのは、落とした財布が戻ってきたという喜びの気持ちが、その時一番近くにいたその人に好印象が伝染してその結果その人は良い人だ!となるわけです。
相手が喜ぶ状況を作ってあげることが、相手から好感を持たれるための一つのきっかけになるということですね。
パブロフ型条件付けでは反対の嫌われることも同じだとしています。たとえば上司が部下のミスを指摘して多いに怒ったとします。ミスは反省するものの怒られ方に多いに感情を害した部下は気分が悪くなります。気分が悪いというマイナスの感情が、その時いちばん近くにいた上司に感染して、上司を嫌いになってしまうという具合です。
つまりミスの指摘が嫌いになった理由ではなく、感情を害されたことが嫌いになった理由だということですね。叱るのはいいが、怒るのはダメだとよく言われますが、部下への愛情を伴うのが叱る・自分の感情をぶちまけるのが怒るだとすると、確かにうなづけます。相手を注意したり反省を促すときには、感情を害さないような工夫が必要ですね。というか技術として持ち合わせたほうがいいですね。
松下幸之助がある幹部を叱るときに 「お前ともあろう者がなんでこんな失敗をするのだ!」 と言ったそうです。 たしかに 「お前はなんでこんな失敗をするのだ!」 と言うのと比べると天地ほどの違いがあります。
人に好かれたり嫌われたりする理屈を研究してみることで、不要な対人関係の不都合を減らすことができるかもしれません。
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